保釈されるまでの流れ|保釈請求却下のことも

保釈されるまでの流れ|保釈請求却下のことも

検察に起訴されると、犯罪加害者の身分は、それまでの「被疑者」から「被告人」に替わります。
在宅起訴のケースを除くと、起訴される人はその時点で多くが勾留され、主に留置場に入れられています。
起訴とは裁判の開始を意味します。

日本の司法の実情は、起訴イコール有罪決定となっているので、こうなると落ち着いてはいられないでしょう。
ただし、保釈によって外に出る機会の到来でもあります。
誰でも自由の身になりたいものですが、保釈が必ずかなえられるとは限りません。

保釈までの流れ、そして請求却下となる場合を見ていきましょう。

保釈請求から保釈までの流れ

保釈とは、被告人が閉じ込められている拘置所や留置場から解放されて、自由になることです。
保釈にはおおむね条件が付けられますが、それさえ守れば外で自由な行動をとれます。

起訴されるということは、検察側の証拠がおおむね揃ったということであり、被告人をいつまでも閉じ込めておく理由は小さくなっています。
つまり本来、保釈は認められやすい状況です。
ただその前に、保釈請求が裁判所に認められない限り、外には出られません。

保釈までの流れを確認します。

保釈請求の準備は起訴前から始まっている

被告人に弁護人(弁護士)がついていれば、保釈の準備はかなり早めに始められます。
起訴後から保釈の準備を始めても、請求が認められるまでに時間が掛かってしまい、それだけ外での自由な時間が短くなります。

殺人のような重罪や常習犯など、保釈が最初から認められないケースを除いて、弁護人は早めに請求書を含めた保釈請求の準備を始めます。
後述する保釈金の用意もしておき、起訴後すぐに保釈請求する流れがベストです。

起訴されたら保釈請求が可能

起訴される前の、被疑者の身分のうちには、保釈の制度はありません。
起訴前に釈放されるのは、ほとんどは検察が不起訴にした場合です。こういった人の場合、裁判は始まらないのでその後もずっと自由です。
保釈は、起訴された人(被告人)についてのみ適用される、一時的な解放の制度です。

検察官の意見を聞いて裁判官が決定

担当弁護人から保釈請求があると、保釈を担当する裁判官は、まず検察官に意見を聞きます。
検察官が「保釈してよし」という意見を出すことはまずないので、反対意見か、裁判官に任せるか、のいずれかです。
検察が裁判官に一任した場合は、保釈が認められやすいといえます。

裁判官は検察の意見は聞くものの、自己の判断によって保釈の可否を決定します。ですが、日本の司法制度においては、検察意見が強いというのが実情です。
検察官が反対意見を出している場合、保釈は難しくなります。

反対意見は、「証拠隠滅のおそれあり」「被害者に危害を加えるおそれあり」というものが多いです。
それでも頑張る弁護士であれば被告人のため、裁判官に面会を求めたり、電話を掛けたり、あらゆる手段を講じてくれます。

保釈請求が却下されることも多い|却下されたら

保釈請求しても裁判官に却下された場合、裁判所に対して準抗告ができます。不服の申立てです。
担当弁護士としては、被告人が証拠隠滅をしたり、被害者に危害を加えたりしないことを準抗告で主張します。
準抗告が認められないとしても、保釈請求はまたすることができます。

その後、被害者と示談が成立したなど、状況に進展があれば、次の保釈請求が認められる可能性が高まります。
裁判が始まったのち、証拠調べが進む中で証拠隠滅の可能性が薄れ、改めて保釈が認められることもあります。

保釈請求が認められたら

保釈請求が認められると拘置所や留置場から釈放されるわけですが、その前に保釈金の納付が必要です。
また、その後の流れも確認しましょう。

保釈金を納めないと出られない

経営者などは多くの保釈金を納めていますが、一般的な保釈金の額は150万円から300万円程度です。
被告人ごとに決定されます。

保釈金を納付しないと外に出られません。
納付はおおむね、これは弁護人の仕事です。
保釈金を納付すると保釈の効力が発生するので、時間を問わずただちに釈放されますが、裁判官の仕事のルーティン的に午後になることが多いです。

保釈金は被告人が裁判所の指示に従っていれば、裁判終結後返還されるものです。
指示に従わないと没収されます。犯罪被害者のもとにお礼参りに行ったり、海外逃亡したりするような場合です。

保釈金は、没収されれば被告人にとって痛みを感じる額に設定されます。

保釈された後の流れ

保釈されると、保釈条件に違反しない限り自由です。
監視されることもなく、逮捕前と同様に、普通に生活することができます。
宿泊を伴う旅行に行くときは、裁判所の許可を得なければなりません。

ただしこの後裁判が待っています。裁判の結果、実刑判決となったら、また収監されます。
その後控訴して上級審の判決を仰ぐ場合も、外に出ようとすると改めて保釈請求が必要となります。

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